こんにちは! 全国の医学部受験生をサポートするオンライン塾「ローカルメディ」のラジオ番組、「頭がすごく良くなるラジオ」でお送りしております、福井大学医学部医学科のKと申します。
私は高校時代に医学部受験を経験し、その後、1年間の浪人生活という長く苦しい期間を経て、現在はここ福井大学医学科にご縁をいただき、充実した医学生としての日々を送っています。本日はよろしくお願いいたします。
今日はこんなことを書きたいと思います。 私がそもそもなぜ医学を学びたいと思ったのかという原点のストーリー。 そして、長く苦しい受験生活の中で必ず誰もがぶつかる「モチベーションの低下」「直前期の激しい焦り」、そして「言い知れぬ孤独感」という3つの大きな壁を、私がどのようにして乗り越えてきたのかについてです。
一般的に、学校の先生や予備校の進路指導などでは、「医学部を目指すのであれば、最初から揺るぎない崇高な理念を持っていなければならない」と言われることが多いと思います。 また、受験期のメンタルケアに関しても、「不安を感じる暇があったら、1秒でも多く英単語を覚えなさい」とか、「受験は個人戦なのだから、孤独に耐え抜いた者だけが合格を掴み取れるのだ」というような、少し厳しくてスパルタなアドバイスが飛び交うことがよくあるように感じます。
しかし、私はそれらの考え方に対して、自分自身の浪人時代の経験から、少しだけ疑問と新しい視点を持っています。 今日は、私が医学を志した最初のきっかけが、実はとても身近な家族の病気への純粋な「疑問」であったというお話をします。 さらに後半では、成績が伸び悩んで「自分は医学部に入ってもやっていけないのではないか」と絶望した時に私を救ってくれた予備校のチューターとの面談や、共通テスト直前のパニックになりそうな焦りを一瞬で消し去ってくれた「1本の応援動画」のエピソードを交えながら、たっぷりと語っていきたいと考えています。
毎日机に向かっている中高生の皆さん。 予備校の重苦しい空気の自習室にこもり、不安を抱きながら浪人生活や再受験に挑んでいる社会人や浪人生の皆さん。
「よし、今日も1日頑張るぞと意気込んで机に向かったのに、ふと自分の偏差値の推移を見て、医学部なんて夢のまた夢なのではないかと急にペンが止まってしまう」 「周りの友達が推薦入試で次々と進路を決めて楽しそうに遊んでいるSNSを見て、自分だけが真っ暗なトンネルの中に取り残されたような強烈な孤独感に襲われる」
そんな風に思い悩んでしまうこと、ありますよね。そのお気持ち、私には痛いほどよく分かります。 私も受験生時代は、自分の成績の伸びなさに何度もモチベーションを見失い、見えない未来への恐怖や焦りと一人で葛藤していたごく普通の学生だったからです。
しかし、私が悩み抜いた末に合格できた道のりを振り返ってみると、決して「最初から立派な医師になるという揺るぎない自信を持っていたから」でも、「孤独にじっと耐え忍んで感情を押し殺して勉強し続けていたから」でもないという真実が見えてきます。 皆さんが心の中に抱えている「やる気が出ない自分への罪悪感」や「誰にも言えない孤独と焦り」という深い不安に優しく寄り添いながら、明日からの勉強が少しでも前向きになるような、心がスッと軽くなるヒントを、私のリアルな経験を交えてお話しさせていただきます。
第一章 医学を志した原点。祖父の笑顔を奪った病気への疑問

まずは、私が医学を学びたいと思った最初の理由についてお話ししたいと思います。 よく、面接の練習などをしていると「幼い頃にブラックジャックを読んで感動した」とか、「海外の医療ボランティアのドキュメンタリーを見て衝撃を受けた」といった素晴らしいエピソードを耳にします。 もちろんそれらも素敵なきっかけですが、私の場合はもっと身近で、家族の日常の中にある出来事が原点でした。
私には、とても優しくて大好きな祖父がいました。 しかし、その祖父の体には、帯状疱疹という病気の後遺症が残ってしまっていました。 帯状疱疹の後遺症として、祖父には「笑うと顔に激しい痛みが生じる」という、とても辛い症状があったのです。
私たち家族がリビングに集まって、テレビを見たり、今日あった出来事を話したりして団欒している時を想像してみてください。 本来であれば、一番リラックスして、みんなで大きな声で笑い合える幸せな時間です。 しかし、祖父は私たちが笑っていても、表情筋を動かすと顔が痛いからという理由で、笑いたくても笑うことができず、じっと表情を崩さないように耐えていました。 さらに、その顔の痛みには波がありました。 あまりにも調子が悪い日は、ひどい痛みのせいで口を開くことすら辛く、誰とも話したくないという状態に陥ってしまうこともあったのです。
私はその祖父の姿を近くで見ていて、自分が今、痛みを感じることもなく当たり前のように笑い、当たり前のように毎日を過ごせているのは、ただ単に「健康な体があるからだ」という事実を深く思い知らされました。 健康であることの大切さを、身をもって実感した出来事でした。
その後、祖父は亡くなってしまいました。 祖父が亡くなった後、私の心の中には「生きている間に、おじいちゃんの笑顔をもっとたくさん見ておきたかった」という、強い後悔と寂しさが残りました。 そして、その後悔はやがて、一つの純粋な疑問へと変わっていきました。
「そもそも、帯状疱疹という病気はなぜ発症するのだろうか。」 「発症したとしても、なぜあんなに辛い後遺症が残ってしまうのだろうか。」 「祖父は生前、病院でどのような治療を受けてきたのだろうか。」 「もっと早く気づいていれば、あの病気は予防できなかったのだろうか。」
次から次へと、医学に対する疑問が自分の中で湧いてきたのです。 このようなどうしても知りたいという人体や疾患への強い興味と好奇心が、私が大学で医学を深く学びたいと思うようになった最初のきっかけです。
第二章 理想の医師像。地域に寄り添う、かかりつけの内科医
医学を学びたいという思いが芽生えた後、私を「医師になる」という明確な目標へと導いてくれた決定的な存在があります。 それは、私が住んでいる地元にある、かかりつけの内科の先生でした。
皆さんの周りにも、小さい頃から風邪を引いたら必ず診てもらうような、お馴染みの先生がいるかもしれません。 私の地元のかかりつけの先生は、まさに地域医療の鑑のような方でした。 その先生は、毎日たくさんの患者さんが訪れる中で、患者さん一人一人の性格や家庭環境、生活習慣といった特性を完璧に把握していました。 そして、ただ薬を処方するだけではなく、優しく言葉をかけ、その人の人生そのものに寄り添うような温かい医療を提供し続けていました。
そうやって地域の人々と深い信頼関係を築くことで、地域全体に大きく貢献している姿を、私は診察室の椅子に座りながらいつも尊敬の眼差しで見つめていました。
現代の日本は超高齢化社会です。 お年寄りが年齢を重ね、いくつもの複雑な病気を抱えながらも、施設や遠くの大きな病院ではなく、住み慣れた自分の家や地域で安心して暮らし続けるためには、この先生のように地域に根ざした身近な医師の存在が絶対に必要不可欠です。 私はその先生の背中を見て、「私も将来、この先生のように、地域の患者さんに心から信頼され、安心して頼ってもらえるようなかかりつけ医になりたい」と強く思うようになりました。 これが、私が医学部を受験し、医師を志すことになった最大の原動力です。
第三章 モチベーションの崩壊。見えない未来への恐怖

しかし、目標がどれだけ明確になったとしても、医学部受験の勉強は決して平坦な道のりではありません。 むしろ、目指す山が高ければ高いほど、直面する壁も分厚く、深い谷底に突き落とされるような経験を何度もすることになります。
私は高校時代に現役で医学部を受験しましたが、結果は不合格でした。 そして浪人生活に入り、毎日朝から晩まで予備校の自習室にこもって必死に勉強を続けました。 しかし、どれだけ勉強しても、模試の成績が思うように上がらない時期が必ずやってきます。
「こんなに毎日勉強しているのに、どうして偏差値が届かないのだろう。」 「このまま1年が終わってしまったら、私は一生医学部には行けないのではないか。」
そんな絶望的な不安が、夜寝る前にベッドの中で何度も何度も押し寄せてきました。 さらに、私の心を蝕んだのは、成績の不安だけではありませんでした。 「医学部に入るための受験勉強だけで、自分は今こんなに苦労して、ボロボロになっている。もし奇跡的に医学部に合格できたとしても、大学に入ってからのもっと高度で専門的な医学の勉強に、自分は到底ついていけないのではないか。」 そんな、まだ見ぬ未来に対する恐怖までが募り、机に向かう気力すら湧かなくなってしまうことがありました。
一般的に、予備校の先生からは「モチベーションが下がった時は、志望校のパンフレットの綺麗なキャンパスの写真を見てやる気を出せ」とアドバイスされます。 しかし、成績が足りていない現実を前にしてパンフレットを眺めても、「自分には縁のない世界だ」と余計に虚しくなるだけでした。
そんな勉強のモチベーションが完全に底をついてしまった時、私を救い上げてくれたのは、通っていた「白谷塾」のチューターとの週1回の定期面談でした。 私は、実際に医学科に見事進学した先輩に、チューターとしてついてもらっていました。
その先輩は、私が勝手に想像していた「医学部生は毎日寝る間を惜しんで勉強ばかりしているガリ勉だ」というイメージを見事に打ち砕いてくれました。 先輩は、大学で部活動に全力で打ち込み、自分の趣味の時間もしっかりと楽しみながら生活していました。 そして何より、膨大な医学の勉強を「苦しいもの」として捉えるのではなく、人間の体の不思議や病気のメカニズムを「面白がりながら」学んでいて、本当にキラキラと楽しそうにキャンパスライフを送っていたのです。
私は、1週間必死に勉強を頑張って、ちょうど週末にモチベーションがガス欠になりそうなタイミングで、このチューターの先輩と面談をしていました。 そこで、先輩から医学科生の具体的な学校生活や、解剖実習の驚き、面白かった授業の話などを直接聞かせてもらうことで、私の頭の中の「恐怖の未来」が「ワクワクする楽しい未来」へと書き換わっていきました。 合格した後の明るい未来をリアルに思い描くことができたからこそ、私は浪人中の暗く苦しいトンネルの中でも、決して立ち止まることなく勉強を続けることができたのです。
第四章 医師になっても続く勉強と、先生の壮絶な過去
そして、私がモチベーションを高く保ち続けることができた背景には、もう一つ、大切なエピソードがあります。 それは、私が医師を志すきっかけとなった、あの地元のかかりつけの内科の先生に関するお話です。
私は人づてに、その先生の開業医としての日常について聞く機会がありました。 その先生は、日中たくさんの患者さんを診察して疲れ果てているはずなのに、診療が終わった後も、毎日遅くまで医学の最新の知識や論文を勉強し続けているというのです。
私はそれを聞いて、ハッとさせられました。 「医学部に入れば勉強は終わりだ」とか、「医師免許を取ればゴールだ」と、心のどこかで甘く考えていた自分に気がついたのです。 医師になった後も、目の前の患者さんを本当に救うためには、一生勉強し続けることが何よりも大事なのだと学びました。 「あの尊敬する先生が今でもあんなに勉強しているのだから、自分も目の前の受験勉強くらい全力で頑張らなくてどうするんだ」と、自分自身を奮い立たせる良いきっかけになりました。
さらに、その先生の過去の経歴についても知ることになりました。 実はその先生は、高校を卒業した時、私と同じように成績が医学部合格のレベルに届いていませんでした。 そして、1度は医学部に入ることを完全に諦め、全く別の他学部に進学して大学生活を送っていたそうです。
しかし、他学部で学んでいても、心の奥底にある「やっぱり医師になりたい」という強い夢をどうしても捨てきることができませんでした。 結局、その先生は他学部を卒業した後、ゼロからもう一度受験勉強をやり直し、医学部に入り直して、見事に医師になるという夢を叶えたのです。
その先生は、ある時こう仰っていました。 「医師という仕事は、命に関わるからもちろん辛いこともたくさんある。けれど、自分がどうしてもやりたいことだったから、仕事が本当に楽しいんだよ。」
この言葉と先生の壮絶な経歴は、私の心に深く突き刺さりました。 どんなに遠回りをしても、一度は諦めかけても、夢を捨てずにいれば必ず叶うのだということを、先生の人生そのものが証明してくれていたからです。 だから私は、どんなに模試の成績が悪くても、自分も絶対に医学部に進学することを諦めないようにしようと、強く心に誓いながら机に向かっていました。
第五章 共通テスト直前の焦り。私を救った1本の動画

「とはいえ」、受験の時期が近づいてくると、どれだけ強い決意を持っていても、人間の心は簡単に揺れ動いてしまいます。 特に、医学部受験の最初の関門である「共通テスト」の直前になると、今まで経験したことのないような種類の感情が襲ってきました。 それが、強烈な「焦り」です。
共通テストが1ヶ月前、2週間前と迫ってくるにつれて、自分の頭の中はパニック状態になりました。 「毎日こんなにやっているのに、まだ勉強時間が全然足りない気がする。」 「過去問を解いてみたら、あの分野の知識が抜けている。あの問題も急いでやらなきゃ。」 「こんなことなら、夏休みにもっとこの問題集を完璧にできるようになっておくべきだった。」
次から次へとやらなければならないことが頭に浮かび、参考書を何冊も机の上に広げては、どれから手をつけていいか分からずに呆然としてしまう。 そんな焦りに飲み込まれそうになっていた時でした。
世間一般の先生たちは、「焦っても点数は上がらないから、深呼吸して目の前の問題を解きなさい」と冷静なアドバイスをしてきます。 それができれば誰も苦労はしません。焦っている時は、その深呼吸すら上手くできないのです。
そんな私のパニック状態をスッと鎮めてくれたのは、白谷塾の山本先生が共通テストの直前に送ってくれた、ある動画でした。 それは、生徒全員に向けた定型文のメッセージではなく、生徒一人一人に対して個別に語りかけてくれる、心のこもった応援動画でした。
その動画の中で、山本先生は画面越しの私に向かって、ゆっくりと、そして力強くこう言ってくれました。 「Kさん、ここまで本当によく勉強してきているのを、先生はずっと見ていたよ。だからね、明日のテスト本番で、自分の実力以上の凄い点数を叩き出そうなんて、少しも思う必要はないんだ。」 「今まで自分がやってきたことを、ただ素直に出し切ればそれでいい。君は、今から5分後に『はい、試験開始です』と言われたとしても、十分に実力が発揮できるくらい、圧倒的な量の勉強をしてきたんだから。」 「だから、焦らずに落ち着いて、いつも通りにやれば絶対に大丈夫だよ。」
この言葉を聞いた瞬間、私の中で張り詰めていた糸がふっと緩み、涙が溢れてきました。 「実力以上を出さなくていい」「今すぐ試験が始まっても大丈夫なくらいやってきた」。 この言葉は、完璧を求めて自分を追い詰めていた私の心を、これ以上ないほど優しく包み込んでくれました。
本番までの残り数日間、どうしても焦りを感じて参考書をめくる手が早くなってしまった時は、お守りのようにこの動画を何度も見返しました。 そして、「大丈夫、いつも通りだ」と自分に言い聞かせて、落ち着いていつものペースで勉強を続けることができました。
第六章 孤独感との付き合い方と、少し先の未来へ
そして最後に、受験生活を通して常に背中合わせだった「孤独感」についてお話ししたいと思います。
浪人生活というのは、基本的に朝から晩まで1人で自習室の机に向かい、無言で問題集と格闘する日々です。 周りには同じように勉強している受験生がたくさんいるのに、なぜか「世界中で自分1人だけが、こんな辛い思いをして取り残されているのではないか」という錯覚に陥ることがあります。
世間では「受験は自分との戦いだから、孤独に打ち勝つ強い精神力を持て」と言われます。 しかし、私はそんなに強い人間ではありませんでした。 だから私は、孤独を無理に1人で抱え込んで耐えることをやめました。
自習室から家に帰った後は、家族とリビングで今日あった出来事やテレビの話題など、たわいない話をたくさんしました。 そして、予備校ではチューターの先輩を捕まえて、「実は今、成績が伸びなくて不安で押し潰されそうなんです」と、自分の弱い気持ちや情けない感情を、隠すことなくすべて素直に吐き出すようにしました。
不思議なもので、人間は自分の心の中にあるドロドロとした不安を、声に出して誰かに聞いてもらうだけで、孤独感が驚くほどスッと薄れていくのです。 そうやって周りの人たちに頼りながら孤独感を定期的に解消することで、私は途中で心が折れることなく、最後まで勉強を続けることができました。
医学部を目指していく長く過酷な過程では、高校の同級生たちが大学で楽しそうにサークル活動をしていたり、思い切り部活に打ち込んでいるSNSの投稿を見てしまうこともあるでしょう。 「どうして自分だけ、友達と遊ぶ時間を削ってこんなに辛い思いをしているのだろう」と、理不尽に感じて涙が出る夜もあると思います。
「というわけで」、あなたが今感じているその辛さや不公平感は、とても自然な感情です。自分を責めないでください。 でも、これだけは覚えておいてください。 友達と心置きなく遊んだり、自分の好きな部活や趣味に全力で打ち込むことは、医学部に入ってから、いくらでも、それこそ一生分の思い出ができるくらい十分に楽しむことができます。 医学部のキャンパスライフは、あなたが想像している以上に自由で、楽しくて、最高の仲間たちに囲まれています。
だから、どうか今は、その明るい未来を手に入れるための準備期間だと割り切って、目の前の受験勉強に専念して頑張ってほしいと心から願っています。
どんなに成績が伸び悩んでも、どんなに焦って孤独になっても、決して諦めないでください。 私の尊敬するかかりつけの先生が証明してくれたように、諦めずに歩き続ければ、夢は必ず叶います。
あなたが納得のいく結果を掴み取り、春に笑顔で医学部の門をくぐれることを、福井の地から心より応援しています。
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